<記事1>
三鷹の「猫に餌やり」訴訟:加藤元名人、住民と対立 地裁立川支部きょう判決 /東京
◇管理規約判断に注目
集合住宅敷地内での野良猫への餌付けは管理規約違反にあたるのか--。餌付けによって集まった野良猫のふん尿などで被害を受けたとして、三鷹市の住民18人と管理組合が同じ集合住宅に住む将棋の元名人、加藤一二三(ひふみ)九段(70)に餌付けの中止と慰謝料など645万円を求めた訴訟の判決が13日午後、地裁立川支部で言い渡される。主張は真っ向から対立し、平行線をたどったまま。裁判所の判断が注目される。【池田知広】
訴状などによると、加藤氏は三鷹市内の庭付き2階建ての高級テラスハウスに居住。93年ごろから、自宅玄関前や庭で野良猫への餌付けを始めた。一時期は18匹が集まり、周囲への悪臭や鳴き声の被害が大きくなった。車にひっかき傷を付けられた住民もいた。
だが加藤氏は再三の注意も聞かず、調停も不調に終わったため、08年11月に提訴した。
これまでの公判で、住民側は(1)他の居住者に迷惑を及ぼす恐れのある動物を飼育しない(2)他の居住者に迷惑を及ぼす恐れのある行為をしない--と定めた管理規約を根拠に違法性を主張する。
一方、加藤氏は「飼い猫ではないし、犬や猫を飼ってはいけないとも書いていない」と反論。規約の解釈をめぐって対立している。
法廷で住民側はふんの証拠写真約200枚を提出するなどして「受忍限度を超えた」と主張してきた。
これに対しても加藤氏は「被害は水掛け論で、ほとんど事実無根。写真には野良犬のふんも含まれている」と反論し、不妊・去勢手術で野良猫の数は現在は2匹に減っているという。
また加藤氏は、自らの行為の正当性の根拠として、地域住民が共同で世話をして管理する「地域猫活動」の概念を挙げるが、住民側は「合意形成も無いのに集合住宅内でやってよいわけが無い」と反論している。
住民の40代男性は「猫は好きだが、次元が違う。続けるなら引っ越してもらうしかない」と怒り心頭。
加藤氏は「猫にも生存の権利がある。どんな判決が出ても餌付けは続ける」と一歩も譲る姿勢を見せていない。
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<記事2>
野良猫餌付け 将棋の加藤九段に中止などを命じる判決
5月13日13時30分配信 毎日新聞
餌付けで集まった野良猫のふん尿などで被害を受けたとして、東京都三鷹市の住民17人と管理組合が同じ集合住宅に住む将棋の元名人、加藤一二三(ひふみ)九段(70)に餌付けの中止と慰謝料など645万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁立川支部(市川正巳裁判長)は13日、餌付けの差し止めと3万6000~30万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
訴状などによると、加藤氏は93年ごろから、三鷹市内の2階建てテラスハウスの自宅玄関前や庭で野良猫への餌付けを始めた。集まる猫は一時期18匹にも達し、住民側はふん尿による悪臭やゴミの散乱などによる被害を受けたとしていた。住民らが餌付けをやめるよう再三の注意や決議をしたが、加藤氏は応じず、調停も不調に終わったことから、08年11月に住民側が提訴していた。
裁判で住民側は▽住宅の管理規約が「他の居住者に迷惑を及ぼす恐れのある動物を飼育しない」と定めている▽中止要請に応じないため受忍限度を超える被害が出ている--ことなどから、餌やりの違法性を主張。加藤氏は「屋外での餌付けは飼育でなく、仮にそうだとしても猫は迷惑な動物でない。被害はほとんどが事実無根だ」として請求の棄却を求め、全面的に争っていた。【池田知広】
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猫好きである。今の時代にこういった判決にびっくりしている。今の時代は地域猫だろう。
裁判になる前に「地域猫」としての工夫ができなかったのだろうか?記事の通りに「猫好き」な住民もいるのだからできたのでないか?
【地域猫】Wikipedia
地域猫とは、特定の所有者(飼い主)がいない猫で、かつその猫が住みつく地域の猫好きな複数の住民たちの協力によって世話され、管理されている猫のこと。この中には、特定個人や不特定多数によって、ただ給餌されるだけの猫は含まれない。特定個人によってのみ給餌されるだけの猫は当該個人の飼い猫であり、特定個人に養われていない(管理責任を持つ者がいない)猫は野良猫である。
餌・水をやる場所が決められ、出入り口を設けたプラスチックや発泡スチロール箱、市販のゴミ袋などで覆った蜜柑箱などの簡易型の塒(ねぐら)の設置、糞などの排泄物の処理や周辺環境の掃除、本来飼い主が受けるべき苦情の処理や、野良猫が繁殖しないように去勢手術を行って身体の特定の箇所に目印をつけられるなどの管理・保護がなされているため、法律上管理責任者が存在しない野良猫とは区別される。
1997年(平成9年)に神奈川県横浜市磯子区の猫好きな住民たちが野良猫たちを自分たちで共同で世話をし、野良猫を増やさないようにする運動をはじめたことから全国に地域猫運動、地域猫制度として普及した。
これは、地域に増加する野良猫に対してむやみに餌を与えない様に行政側が提言を行い、餌を与える側に自主的な協力を呼びかけたり、餌を与えて養うにしても、以下の活動を推奨している。
・不快感を催させるほどに増えない様不妊・去勢手術を行う
・健康管理を行って伝染病や寄生虫の蔓延を防ぐ
・公共の場所や他人の敷地に放置された糞を、ネコを世話する側が掃除する
・入って来てほしくない場所には侵入防止用の措置を行う
・個体の把握と管理のため、管理されたネコには首輪やピアスといった目印をつける
・餌を与える場所を定め、給餌行為で他人に迷惑を掛けないよう配慮する
以上、さまざまな対応をとることで、地域に住みつく飼い主のいない猫と地域住民の共存を図る地域猫制度を推進する自治体やボランティア団体が現れ始めている。
=ここまで=