震災後、はじめて東京に行った。土曜の朝に出て日曜の夜に戻るという「弾丸ツアー」である。
目的は首都圏の私立高校への訪問のためである。
学校からの推薦方法、塾からの推薦基準などいろいろなことを打ち合わせた。
息子は物心ついてはじめての東京。いとこ(といっても30近い)が面倒をみてくれたので心配なく出張ができた。
日曜日は遅めの便で帰沖することにして本当に少ない時間で東京散策。
四谷から晴海埠頭行きのバスに乗って皇居を経て、銀座、勝どき、ベイエリアに向かった。
お台場で「逃走中」でみた光景に興奮をし、フジテレビを見学し、時間はすぐに過ぎてしまった。
帰りに大道芸をやっていた。息子と一緒にみていた。
大道芸人TOMIさんを囲むように人がみている。そこで思った。
この親子連れもカップルも東京人なのだろうか?関東人なのだろうか?
大半は電車で帰れる距離に家があるのだろう。
家に帰ったらサザエさんを見ながら家で夕飯を食べることができる人たちなのだろう。
私には東京に実家はあっても帰る場所ではない。
そこで自分の帰る場所は沖縄であることを再認識した。
内地人が希望を持って沖縄にやってくる。塾を開く人もいる。
しかし、途中で頓挫するとすぐに内地に帰っていく。何もないのならいいが、独自の怪しい方法を中途半端に伝えて帰る人もいる。内地に拠点を残したままで沖縄に来て「失敗してもいい」ようにしている人もいる。
今春、昨春も撤退した塾の中にこういったかたちで内地に帰っていった塾経営者が何名もいた。
そのたびに「あんたの沖縄への思いはそんなものだったのか?!」といいたくなる。
私は帰る場所がないので沖縄の教育に人生をかけることになる。
それでいいのだ。
「席次信仰で『商売』をしない」、「実名貼りだしで生徒を商材に使う塾であってはならない」、「塾を通じて沖縄の学力の向上に貢献する」日曜夕方近い台場で再び心に誓った。